裏ハムラ法手術~結膜浮腫について~
37歳女性の裏ハムラ法手術症例です。
裏ハムラ法は瞼の裏側から手術を行うため皮下出血や術後の腫れが少なくダウンタイムが比較的短くて済む非常に優れた方法です。
通常は1週間くらい皮下出血やむくみが出ますと説明して手術に臨みます。
70~80%くらいの症例で1週間後には手術した跡はほとんど目立たなくなりますが、残りの人はもう少し時間がかかることがあります。
この患者さんの場合、3日後に圧迫していたテープをはがした際に左目に結膜浮腫と軽度の眼球結膜下出血を認めました。
眼球結膜下出血は以前の記事でも述べた様に瞼の裏側の切開部での出血が円蓋部結膜を越えて眼球結膜下に浸潤するために起こり白目が赤く染まるものです。
本症例では眼球結膜下出血は極軽度だったため比較的早期に退色しました。
結膜浮腫は白目を覆っている眼球結膜の下に水分が貯留し白目の表面にゼリーが付着したようにブヨブヨになる症状のことです。
一般的には目をこすり過ぎたなどの物理的刺激によるものの他、最も多いのは花粉やハウスダストなどに対するアレルギー反応により結膜下に浸出液が貯留するといわれています。
裏ハムラなどの瞼の裏から行う手術の際にも比較的多くみられる症状で、瞼の裏に注射した局所麻酔の液体あるいは手術の侵襲に対する浸出液が円蓋部結膜を越えて眼球結膜下に浸潤するために起こると考えられています。
重度の結膜浮腫に対しては結膜を切開し排液を促す処置を行うこともあるらしいのですが私はそこまで重症の経験はありません。
当院ではステロイドの点眼を処方し結膜浮腫の早期治癒を図っています。
この患者さんの場合、結膜浮腫や下瞼のむくみが比較的長く続きました。
術後10日目でも左目の結膜浮腫と腫れがまだ残っています。
術後1ヶ月の検診時にはようやく落ち着いてきたのが見て取れるかと思います。
-2023.10.23
院長ブログ