取れにくい埋没法を目指して~その②
埋没法の2回目は実際の糸の通し方についてのお話しです。
まず前回のおさらいとして上眼瞼の構造を見てください。
この図のA-Bラインで切った時の断面図が次のイラストになります。
では埋没法の実際の糸の通し方を見ていきましょう。
まず表面麻酔の点眼をしたのち、皮膚側・結膜側に細い針で局所麻酔の注射をします。(この際、少しチックとした痛みがありますが痛みが心配な方や少しでも腫れを少なくしたい方にはオプションとして世界最細の34Gという注射針を用いることも可能です。)
埋没法に用いる糸は一本の糸の両側に針の付いた両端針という糸を用います。(糸の太さは髪の毛とほぼ同じ7-0という糸を用いることが多いですが、皮膚の薄い方で結び目が浮き出るのが心配な方や少しでも腫れを少なくしたい方にはオプションとしてそれよりずっと細い8-0という糸を用いることも可能です。)
まず一方の針を結膜側から皮膚側に貫通させます。
次にもう一方の針を結膜の同じ穴に刺し瞼板を薄くすくいとるようにして少し離れた結膜に出します。この操作により結膜側にも糸の露出しない通し方が可能になります。瞼板法の欠点である眼球異物感が最小限に抑えられるのです。
さらにこの針で結膜の同じ穴から瞼板を貫通させ、また皮膚側に針を通します。
皮膚側に出した針を同じ穴に刺し、そこから皮下を薄くすくいとるようにしてもう一方の皮膚にあいた針穴から糸を出します。
糸の両端を少しひっぱりたるみの無いようにして4~5回ほど結びます。4~5回というのは、それ以下ですとほどけやすいし、それ以上ですと結び目が大きすぎて皮膚側から目立ってしまうちょうどいい回数なのです。
そして結び目を確実に皮下に埋め込みます。
イラストは、2本の糸を埋め込んだ状態(ベーシック2点法)になります。ベーシック3点法では3本の糸を埋め込むことになります。
以上が最もオーソドックスな埋没法の術式となります。
次回は、いよいよ本題のどうして埋没法ではラインが消失することがあるのかと、取れにくい埋没法の工夫についてのお話しです。
-2015.08.18
院長ブログ