経結膜的眼瞼挙筋短縮術(裏眼瞼下垂手術)のモニター症例
今回は瞼の裏側から行う眼瞼下垂手術のモニター症例を報告したいと思います。
施術した術式は経結膜的眼瞼挙筋短縮(前転)術、俗に言う裏眼瞼下垂手術です。通常眼瞼下垂手術は瞼の皮膚を切開して行う方法が一般的でこちらの方がずっと簡単なのですが、裏から挙筋を短縮することも可能でいくつかのメリットがあります。それでは症例を見ていきたいと思います。
症例は20才代の女性の患者さんです。約1年前に他の美容外科で埋没法による重瞼術を受けたのですが、二重の幅が広すぎて眠たい目つきに見えるとのことでカウンセリングに来られました。
このような場合ほとんどの美容外科医は埋没法の糸を抜糸した後、もう少し低い位置に重瞼を作り直す方法を考えますが、今回は瞼の開きを良くする(眼瞼下垂手術)ことによって眠たい目つきを解消することにしました。そしてこの方の場合、かなりくっきりした二重が既に出来ているため新たに二重を作る必要はないと考え、結膜側からの挙筋短縮術を行いました。
一重の方や挙筋短縮を行うことによりたるみが増強され皮膚を切除しなければならない場合は、皮膚側からの挙筋短縮が必要ですが、この方のように二重が出来ていて、むしろその二重を狭く見せたい場合には結膜側からの良い適応となります。結膜側からのこの手術のメリットは、術後の腫れが圧倒的に少ないこと、皮膚に一切の傷跡を残さないこと、術直後から洗顔・メークが可能なことです。
先日、術後2週間目の検診にいらっしゃいましたので、術後経過を報告します。
ややover correction気味な気もしますが、御本人は目がパッチリして眠たい目つきも解消したとのことで満足されていました。皮膚側からの眼瞼下垂手術では、2週間ではまだまだ腫れている時期なのでこの手術で正解だったと思います。もちろん皮膚には一切の傷跡はありません。
まとめますと、結膜側から行う挙筋短縮術の良い適応は、
1. 生まれつきもしくは手術により二重になっていること(挙筋を短縮し瞼の開きを良くするだけの手術ですので二重形成は出来ません。ただし浅い二重のクセがある場合、挙筋機能が改善することによりくっきりした二重に自然になる場合もあります。)
2. 瞼の開きが悪いため幅の広い二重になり眠たい目つきに見える方
3. 長いダウンタイムの取れない方
ということになります。もともと一重の方でも、この手術と埋没重瞼を組み合わせて行うことは可能です。患者さんにとってのデメリットはあまりありませんが医者にとっては術野が狭く操作が難しいということが挙げられます。そのため、ごく一部の美容外科でしか行われていない手術です。
-2015.01.23
院長ブログ